夏期海外基礎配属報告書
和歌山県立医科大学医学部医学科3年
村田七海
私は7月9日~8月29日までの50日間、海外基礎配属の一環でシンガポールの南洋理工大学(NTU)に留学しました。配属先であるSu I-Hsin教授の研究室では免疫学を専門としており、私の入れていただいたチームはマクロファージにおけるミトコンドリア動態について研究していました。留学前の1か月間はほぼ毎日放課後に和医大の生体調節機構研究部へ通い免疫学研究で必要な手技を教えていただいたのですが、留学当初はほとんどの手技が「見たことはあって知っているけれど一人ではしたことがない」という状況でした。この留学を通して、最終的にはマウスから骨髄細胞を取り出し、培養してマクロファージまで育て、FACS解析とライブイメージングを行い結果をまとめる、という一連の流れを一人で出来るようになりました。さらに実験結果のまとめ方や発表の仕方も見て真似て学びました。実験以外の時間は実験の意義やミーティング内容、論文を理解するために調べものをしていました。Su I-Hsin Labでは主に三種類、①週一のラボミーティング、②二週間に一度のジャーナルクラブ、③月一の3ラボ合同ミーティングが目的別に行われています。ミーティングの度に知らないことや理解できないことが沢山出てくるのでメモした専門用語や原理を調べ、調べても分からないことを質問し、質問しても理解できないことをまた自分で調べるといった繰り返しでした。研究室に日本人は私だけだったので英語に苦戦することも多々ありましたが、幸いラボメンバーの仲がとても良く、研究室の雰囲気が私にあっていたのでしんどいことがあっても悲観しすぎることなくあらゆることに挑戦できました。ジャーナルクラブの一枠を頂き自分で選んだ論文について一時間かけて議論したことは私にとってとても大きな挑戦であり最も印象に残っています。
休日は観光地へ足を延ばし散策していました。シンガポールはアジアの縮図、ひいては世界の縮図と言われるほど、文化や民族が混ざり合っています。隣国のマレー系、中華系、インド系を始め、イギリス植民地時代に労働者として滞在していたタミール系やアラブ系などの民族がシンガポールに滞在しており、さらに労働人口の3分の1が外国人労働者です。国が小さく様々な文化が密集しているので歩いているとアラブストリートやリトルインディアなどに出逢い、各々の独特な街並みに浸ることができました。後半になるとシンガポールで友達になった人たちと映画を見に行ったり、ラボメンバーと自然公園へ行ったり、観光というよりは現地の人々と共に日常の休日を過ごしリフレッシュしていました。
最後になりましたが、ご指導いただいた改正先生、佐々木先生をはじめ生体調節機構研究部の皆様、国際交流センターの林さん、そしてNTU Su I-Hsin Labのメンバー、ならびに支えて下さったすべての方々にこの場をお借りし御礼申し上げます。この上なく貴重な機会を頂き本当にありがとうございました。シンガポールで吸収してきたことを活かし今後の学生生活をより充実させられるよう邁進してまいります。
Su I-Hsin LabがあるSBS
手技の練習用に培養していた細胞
Marina Bay